見た夢

元神様が個人宛に手紙をくれる夢を見た。

私の生涯の推しだと思っていた神様が呆気なく転落してから半年と少し経った。彼はたくさんの信者から見放され、そんな中残った少しのファンを大切に活動を続けている。

 

夢の中で私は郵便受けを開けた。ずっしりと分厚い封筒が入っている。宛先が手書きで書かれている。神様の字だった。

急いで部屋に入り震える手で封筒を開ける。神様の手書きの字で自身の近況と事務所の状態、これから活動をどう進めていくのか、大半のファンが離れたことで起きた影響についてなど、つらつらと書かれていた。勿論神様の手書きの字だった。コピーをしたような風にも見えなかった。ああ、ここまで切羽詰まってしまったのか、こうして元いた信者を呼び寄せなければならないのかと、私は物悲しい気持ちと薄暗い優越感に浸った。

手紙自体はペラ紙一枚で、ではこの分厚さは一体なんなのかと思って入っていたものを広げてみる。色とりどりの便箋と封筒にそれぞれ値段がつけられて入っていた。成る程、好きなものに返事を書くわけだが、それにはこの値札についた金額を支払わなければならないらしい。そこまで金策に困っているのだろうか。私の信仰していたものはいつのまにか手の届く、いや、手が届くどころか私の足元よりももっと下に降りていってしまったみたいだ。私は1番値が張る、5000円の紫の便箋を破いた。

 

起きてから私はまだ信仰に囚われているのかと落ち込んだ。10年好きだったものを突然放り出すのはやはり多少無理があるらしい。

メールボックスにはファンクラブ更新と数年ぶりの接触イベントのお知らせが届いている。